ガイヨウ(艾葉)
英名:Artemisia Leaf ラテン名:Artemisiae Folium
基原植物:ヨモギArtemisia princeps Pampanini又はオオヨモギArtemisia montana Pampanini(キク科)
どちらも多年草で、清涼感のあるさっぱりとした香りが特徴です。
参考
・ヨモギ (Artemisia princeps Pampanini)(別名 モチグサ、カズザキヨモギ):草丈60~120㎝、葉の長さ6~12㎝、花期 9~10月。仮托葉(たくよう:葉柄またはその基部につく葉状片)があります。
・オオヨモギ (Artemisia montana Pampanini)(別名 ヤマヨモギ、エゾヨモギ):草丈150~200㎝、葉の長さ15~19㎝、花期 8~10月。
ヨモギは生薬以外にも様々な用途があります。
①食事:定番はヨモギ餅ですが、ヨモギを使った多くのレシピがあり、ネットなどで紹介されています。ごく一部ですが下記を参考にしてください。
(参考 cookpad Benesseサンキュ!)
②ヨモギ茶:健康茶として人気があり、ティーバッグとして市販されています。健胃、美肌、安眠、むくみの改善、ストレスの改善が期待できます。少し濃いめにして、冷やした後に口をすすぐ(くちゅくちゅする)と、口内炎や歯肉炎の炎症を抑える事が出来ます。
③入浴剤:ヨモギ湯*は3月の季節湯として知られています。血行促進によって、冷え症、肌荒れ、腰痛、神経痛、痔痛を改善します。また爽やかな香りによるリラックス効果もあります。
*ヨモギ湯の作り方 ヨモギを日陰で乾燥させ、20~30gをお茶パックに入れて浴槽に浮かべます。
(参考 わかさ生活 NORITZ今日のお風呂どうする)
④お灸:葉の裏の綿毛を乾燥させて使用します。
⑤虫の忌避剤:成分の1つであるシネオールには、虫の忌避効果があります。
⑥魔除け・厄払い:ヨモギの繫殖力は強い生命力に例えられ、清涼感のある香りは邪気を払うと言われています。
ヨモギの花
ヨモギの葉
目次
1.基原
1-1.基原
本品はヨモギArtemisia princeps Pampanini又はオオヨモギArtemisia montana Pampanini (Compositae)の葉及び枝先である。
1-2.調製
開花前(初夏~夏)に葉を採取して日干しにします。
2.産地
2-1.日本
日本在来種と考えられています。
ヨモギ:本州~九州、四国、小笠原諸島などの山野の草地
オオヨモギ:本州(近畿)~北海道などの山地
2-2.その他
朝鮮半島、中国など
3.主な成分
3-1.Cineole(シネオール)
(CAS No. 470-82-6) 【構造式:出典】富士フィルム和光純薬株式会社 ホームページ
3-2.α-Thujone(α-ツジョン)
(CAS No. 546-80-5) 【構造式:出典】富士フィルム和光純薬株式会社 ホームページ
3-3.その他
・Sesquiterpenoids:Caryophyllene 他
・Coumarins:Umbellferone、Scopoletin 他
・Fatty acids:Capric acid、Palmitic acid 他
・Others:Caffeoylquinic acid、Acetylcholine、Amylase 他
4.効能・効果
4-1.婦人病
月経不順、月経痛、不正出血、更年期障害を改善します。
4-2.収斂作用による止血
内出血、痔出血、出血による貧血などに効果があります。
4-3.その他
痰切り、咳止めに服用される事があります。
5.副作用
副作用の報告例は少ないですが、キク科のアレルギーをお持ちの方は注意が必要です。また食物繊維が多いため、過剰摂取した際に腹痛や下痢を起こす事があります。
6.副作用の回避
副作用の多くは過剰摂取に起因しています。過量服用や長期使用には注意が必要です。
7.ガイヨウの多様な研究
Figure:Biological activity of Artemisia species
Figureにガイヨウの主な研究領域を示します。副作用が少ない事から、多くの疾患への適応が期待されます。
8.トピックス:近年の研究
8-1.ガイヨウから単離されたセスキテルペンの抗炎症効果
ガイヨウから単離された幾らかのセスキテルペンに関して、NOなどの炎症性シグナル伝達物質の発現抑制効果が認められました。
8-2.ガイヨウの抗酸化作用
DPPH法やABTS法によるラジカルの消去、FRAP法による還元、脂質の過酸化抑制の結果から、ガイヨウには抗酸化作用を有する事が確認する事が出来ました。
9.引用文献
・東北大学薬学研究科・薬学部 附属薬用植物 ガイヨウ(艾葉) –
・熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース